高校生出張授業プログラムを都立高校3校において開催しましたので、その様子をご紹介します。
東京女性リーダーズ応援ネットワークでは、若年層へのキャリア教育の一環として、東京都立高等学校3校(青山高校、国立高校、多摩科学技術高校)の2年生を対象に、出張授業を実施しました。
専門家による講演や、企業で実際に働く方々による講演、ワークショップを通じて、将来のありたい姿を描くきっかけづくりを行いました。
「ジェンダー」にかかわらず、自分らしく社会で自己実現していくために
株式会社カレイディスト 代表取締役 兼 CEO 塚原 月子 氏
ジェンダーにかかわらず、自分らしい進路選択をする大切さについて、専門家をお招きし、ご講演いただきました。生徒の皆さんは、日本におけるジェンダーギャップの大きさや世界的な位置づけ、ジェンダー平等の重要性を理解し、ステレオタイプやバイアスについて、考えを深めていきました。塚原さんから、リアルな日本社会の状況や女性活躍推進の必要性をお話しいただくなかで、今後の社会を自分らしく生き抜くために、生徒の皆さんができることをメッセージとともにお伝えいただきました。
「“自分らしさ“について考えさせられ、進路についての固まった考えについて見直してみたくなった」「『自分と異なる人との関わりを通して本来の自分を知ることが大切』ということが心に残った」「自分から何か挑戦してみると、自分でも気づいていなかったことに気づくきっかけになるのかな、と思いました」など、自身のありたい姿、自分が本当にやりたいことを見つめ直すきっかけになったようでした。
日本アイ・ビー・エム株式会社、株式会社丹青社、SCSK株式会社、全日本空輸株式会社、株式会社ユーグレナ、三井住友信託銀行株式会社、株式会社ルミネ、サッポロビール株式会社、株式会社資生堂、小田急株式会社、株式会社みずほフィナンシャルグループ
企業で活躍する男性・女性リーダー等から、自身の経験やキャリア、企業における女性活躍やDE&Iの取組などをお話しいただき、多様なライフ・キャリアがあることを学びました。これまでのキャリアを振り返ってみて軸としてきたこと、仕事の難しさややりがい、自分らしいキャリアを築くためのヒントをお話しいただきました。普段はなかなか聞くことのできない実体験に、生徒たちは熱心に耳を傾けていました。多様なバックグラウンドを持ち、それぞれの道を切り拓いて来られた企業の方々の経験を知ることで、未来を担う生徒の皆さんが、自信を持って自分の進路を選び、ありたい姿を描くきっかけとなる時間となりました。「キャリア構想のステップの例を、経験に基づいて教えていただき、今後の進路選択のヒントになった」「自分の将来は1つだと決めつけずに色々なところから考えることが大切だと思った」など、今後の自身のキャリアを考える上で、ヒントを得られる時間となったようでした。
「男性の育児休業」などをテーマに、ワークやディスカッションを行いました。自分の中のアンコンシャス・バイアスに気づき、自分自身はどうありたいか、社会に対して何ができるかを考えました。生徒たちは、グループディカッションで活発に意見を交換し、自身の新たな気づきや気持ちの変化を書き留める姿も見られました。「他の生徒の意見を聞くことで、新たな視点が得られた」「ディスカッションを通じて、自分の考えが深まり、今後どうありたいかがこれまでよりも明確になった」など、多様な視点を得たり、自己理解を深める時間となったようでした。
各校からの代表グループが、経営者の意識や職場の文化の変革を促すためのイベント「東京女性未来フォーラム2025」において、プレゼンテーションを行いました。誰もが望む生き方・働き方を選択し、自分らしく活躍できる社会にしていくことをテーマに、特別授業で考えたことを深め、発表しました。
青山高校からは、「育休が取りづらいパパに時短勤務という選択肢を」をテーマに、「男性の家事育児を促進することで、相対的に女性が家事育児をする時間が減り、結果的に女性もキャリアアップをしやすい環境になる」「育児を応援する雰囲気づくり、量だけでなく質に対する評価が必要」「自分らしく活躍するために、働いている人に多様な選択肢があることが大切」と発表がありました。
国立高校からは、「多様化する社会で自分らしいキャリアを歩んでいくために」をテーマに、「ジェンダーギャップは平安時代から続いている」「少しずつ父親が家事に、母親が仕事に参画してきているが、まだ偏りは見られる」「育児休業の取得や女性のキャリアアップについて、明確に公表しながら推進することが必要」「個人として尊重する価値観を取り入れていくことで、みんなが幸せに生きることにつながるのではないか」と発表がありました。
多摩科学技術高校からは、「女性研究者を増やしていくためにどのような取組ができるのか」をテーマに、「入試は男女の枠がないのにも関わらず、多摩科学技術高校の生徒の男女比は3対1となっており、入学以前の影響が大きいと考えられる」「女性研究者の割合を増やしていくためには、幼少期に科学技術の楽しさを伝えることが大切」「科学技術の楽しさを伝える体験型のイベントを、企業と学校で連携して行うことが理系人材の育成につながるのではないか」と発表がありました。
「東京女性未来フォーラム2025」に登壇した社長たちからは、「現役の経営者として、将来の皆さんの活躍を我々が今担っていると感じた」「皆さんのプレゼンで学んだことを実践していきたい」といったコメントがありました。
小池知事からは、「歴史から紐解き、いろんなアンケートもとり、自らの家庭のお母さんのことなども含めて発表いただき、将来、東京は明るいなと思わせてくれる研究成果だった」「若者の皆さんが能力や個性を活かして活躍できる社会をしっかりと築いていきたい」というコメントがありました。