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共同宣言賛同企業へのインタビュー

「男女平等」の先にある多様性を経営戦略に…現場の小さな違和感から変えていく

不動産業界において、早くから自由でフラットな社風を築いてきたコスモスイニシア。同社は2023年に「多様な個」の活躍推進を目指したジェンダーフリープロジェクトを始動させ、さらなる進化を遂げようとしています。

今回は、2児の母として営業と育児を両立した経験を活かし、ボトムアップでの意識改革を牽引する人事課長の和田朋美さんに、女性管理職比率30%達成に向けた独自の取組や想いについてお話を伺いました。

・創業来の「男女平等」を経営戦略へ昇華し、多様な視点で価値創造
・「さゆりキャリアカレッジ」で社内外のロールモデルと繋がる
・男性育休100%や「L休」など、現場の声を形にする制度改革

<プロフィール>

株式会社コスモスイニシア
総務人事部門 人事部 人事課 課長
和田 朋美(わだ・ともみ)
1998年入社。レジデンシャル事業の営業、企画、ブランディング等に携わる。2児の母として不動産営業と育児の両立を経験。2020年に人事部へ異動し、現在は、ジェンダーフリープロジェクトのリーダーとして、女性活躍推進や風土醸成の牽引、人事制度の構築などに関わる。

「男女平等」の先にある多様性を求めて

和田さん:当社には創業時から「男女平等」という考え方が根付いていました。しかし、これまでは、全員が同じように働き、同じように頑張ることが前提だったため、育児などの制約がある社員が活躍しきれていないという課題があったのです。

不動産業は「人」の活躍がビジネスの成否に大きな影響をもたらす業界です。意思決定層に似通った考えを持つ人が集まると、会社にとって機会の損失に繋がる可能性があります。私たちのミッションである「Next GOOD(お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。)」を創造し続けるためには、多様な背景を持つ人材が集まり、議論を戦わせる場が不可欠だと考えています。そのため、2029年度末までに管理職および役員の女性比率を30%にするという高い目標を掲げました。

和田さん:最初は経営層から「うちは昔から男女平等だし、女性活躍に特に取り組む必要はあるのかな。実際に女性課長も、活躍していると思うよ。」といった意見もありました。私自身も当初は「(管理職や役員を)やりたい人がやればよいのでは」と少し懐疑的だった部分もあります。

しかし、人事部で従業員の各種データを見つめ直した際、男女比は半々に近いのに、管理職になるとそのバランスが大きく崩れる現実に気づきました。このまま10年後を迎えると経営にも影響が及ぶ可能性があると思い、単に女性活躍を促進するのではなく、真の男女平等、ジェンダーフリーな世界観を目指すことを目的に掲げることにしました。

推進にあたっては、若手から部長職まで多様な属性のメンバーを集めたプロジェクトを発足し、現場のリアルな声を集めました。ボトムアップで経営層と意見交換を重ねることで、ジェンダーフリーの重要性や取り組むべき経営課題の一つとして理解を深め、今はジェンダーフリーの取組が広く認知されるようになりました。

女性社員の意識を変えた「さゆりキャリアカレッジ」

和田さん:2024年度から本格始動した「さゆりキャリアカレッジ」が大きな柱になっており、今年度は2期目に取り組んでいます。これは当社の専務執行役員である岡村さゆりの名を冠した研修プログラムです。役員をより身近に感じ、楽しそうなイメージを持ってほしいという願いからロゴやグッズも作成し、社員からは「さゆカレ」と呼ばれ親しまれています。

この研修の大きな特徴は、社内だけで完結するのではなく、他社との合同研修を実施し、社外との繋がりに重きを置いている点です。女性管理職は組織内で孤立しがちですが、他社に目を向ければ同じ悩みを抱え、課題に向き合う仲間がたくさんいます。社外のロールモデルに触れ、異なる視点で自身のキャリアを振り返る機会を設けることで、参加者からも高い評価を得ています。

実際、このカレッジを経て「管理職は抵抗がある」と言っていた非管理職のマネージャーが、「トライしてみたい」と決意し、実際に管理職へ転換するという具体的な変化も起きています。月1回のペースで様々なロールモデルと触れることで、自身のキャリアをポジティブに描ける土壌が整いつつあります。

現場の小さな違和感を拾い上げ、制度に落とし込む

和田さん:まさにおっしゃる通りです。ジェンダーフリーを実現するためには、男性の家庭参画とセットでなければ成立しません。そこで、KPIとして2026年度末に男性育休取得率100%と設定したのですが、2025年度に入り、すでに現時点においては100%を達成しています。

これを後押しした一つが「育児ステップ休暇」です。育児のために最長28日間有給休暇を取得できる制度の導入に踏み切りました。制度もさることながら、人事担当の男性執行役員自らが1カ月の育休を取得し、その体験を社内に発信したことも大きかったように感じます。「男性も育休をとることが当たり前」と体現したことで、職場の空気が一気に変わりました。

和田さん:生理休暇を「Life Style Support休暇(通称:L休)」に改称しました。これは若手の女性社員からの提案で、「男性上司に『生理』とは言いづらい」「更年期や不妊治療による通院などもカバーしたい」という意見を反映したものです。

名称を変えるだけで相談の心理的ハードルは下がります。こうした「現場の小さな違和感」を拾い上げ、制度に落とし込むことが、心理的安全性の高い職場作りには欠かせないと考えています。

「個人戦」の営業スタイルから「チーム戦」へ

和田さん:不動産業界には、今なお「地主さんとの関係構築や折衝は男性がするもの」といった業界特有のアンコンシャス・バイアスが残っているのが現実です。外部環境をすぐに変えるのは難しいですが、まずは社内から課題解決策の提案を考えています。具体的には、これまでの「個人戦」の営業スタイルから、多様な人材がそれぞれの強みを発揮できる「チーム戦」への移行を模索していきたいと考えています。組織ごとのオフサイトミーティングを通じて出てきているアイデアの一つでもあり、それぞれの現場に適した解決策をボトムアップで積み上げていくことが、最終的な組織変革に繋がると信じています。

和田さん:私自身、かつては「管理職なんて絶対に無理」と思っていた一人です。でも、いざやってみると、管理職とは完璧である必要はなく、上司やメンバーを頼り、共に成長していけば良いのだと気づきました。「管理職をやってみないか」と声をかけられたら、また少しでも興味があるなら、是非トライしてみてください。トライして見える世界が必ずあると思います。

また、女性活躍の推進にあたって正解はありません。仮説を立てて、出来ることからとりあえず取り組んでみることが何より大事です。どんな小さなことでもいいから、現場の違和感を解消し、解消することで上手くいった成功体験を積み上げること、その積み重ねが、やがて大きな文化となります。

推進にあたり社内に賛同者がなかなか現れなくても、外を見渡せば同じ志を持つ仲間が必ずいます。そして何より、経営層を巻き込むことを諦めないでください。経営方針と女性活躍がいかに合致しているか、コミュニケーションを重ね理解を求めていくことが重要です。トップの本気が伝われば、組織の雰囲気は必ず変わります。

コスモスイニシアはこれからも、不動産業界において最も、多様な人材が、自分らしく輝き、躍動できる会社を目指し、挑戦を続けていきます。

《参考リンク》
勤務地・勤務時間・出張有無……子育てとの両立での悩みは思い込み?挑戦する力を生み出す人事制度
|コスモスイニシア オウンドメディア「COSMOStyle」(2025年7月28日)

男性執行役員が、1か月育休取得!|まずは「隗より始めよ」取得経緯からわかる従業員への思いとは?
|コスモスイニシア オウンドメディア「COSMOStyle」(2025年10月9日)